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help リーダーに追加 RSS 高島平に朝日がやってきた! けど…

<<   作成日時 : 2006/02/28 15:07   >>

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◆朝日新聞の記事が高島平で波紋を広げています。顕在化する格差拡大社会の実態を捉える特集「分裂にっぽん〜東京・高島平団地から〜」が2月5日から12日までの間6回連載され、いわゆる勝ち組、負け組(この言い方はまやかしですけど)に分化される国民生活の「負」の側面を高島平に求めました。連載が始まるや「頭にくるわ、朝日には。あれじゃあ高島平がスラム街みたいよ!」「暗〜い感じね、高島平って」といった多くのブーイングが本紙に寄せられました。

◆では、その内容とは。第1回は「『みんな中流』崩れた」の白抜き見出しが躍り、いきなり荒川河川敷にテントを張るホームレスが登場。「仕事も減り、人間関係も煩わしくて」埼玉県内の公営住宅を飛び出し、子どものころ釣りをした荒川暮らしに転じたという50歳男性は金属くず拾いで一日千円前後を稼いで命をつなぐものの、昔いた高島平には意地でも近寄らないと。高度経済成長を支えた働き手の住むその高島平にも、中流からずり落ちる変転が始まっていると物語≠導きます。公団賃貸棟から経済的理由で賃料の安い都営住宅に移る人が相次いでいる事例、工務店経営者夫妻が金融機関の破綻のあおりで一文無しになり、蓄えが尽きたら生活保護に頼らざるをえない転落≠フ話などが報告されます。

◆2回目以降は「仮の宿39歳 定職なし」「母みとり古希過ぎ独り」「不採用50社 団塊もがく」「障害ある子 心配募る母」「その日暮らし 若者漂流」と展開して、市場万能主義がもたらす分裂ぐあいをあぶり出そうと朝日は試みます。確かに読むほどに重たく、夢も希望もない街として高島平は描かれています。ずいぶんとデフォルメされた印象が流布されてしまった、と普通に暮らす高島平の人が嘆くのも無理からぬことです。

◆朝日が書いたことはフィクションではありません。朝日を100%信用すれば、記事は紛れもない事実です。高島平団地と周辺で起きている現象を的確に切り取ってはいます。では、なぜ、多くの人が胸にすとんと落ちる感情を共有できないのでしょうか? それは「負」のテーマだからではないはずです。一面をつかった大型特集にもかかわらず、ことの本質に迫り切れていないからではないでしょうか。

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◆高島平に現れている事象は、自然現象ではありません。小泉政権が推進している「構造改革」路線に起因し、その帰結としてあえぐ人々が噴出しているわけです。個々人の意思や技量をはるかに超える、見えざる大きな力が働いていて「痛みに耐えろ」と叫ぶ小泉首相についていったゴール、いや通過ポイントが現在のありようなのです。政府は市場万能主義、極端な規制緩和を「官から民へ」と換言してはばからず、いっそう「構造改革=小泉改革」を加速しようとしています。

◆国民の大多数に負担が及び、ごく少数の富裕層と大企業が空前の利益を享受する「構造改革=小泉改革」こそが、痛みの元凶であることをなぜ、きちんと書かないのでしょうか。「分裂ニッポン」連載中の2月6日朝日社説に答えがあります。「避けなければならないのは、こうした格差を理由に、日本を公正で効率的な社会にするための構造改革をやめてしまうことだ」「格差拡大のすべてを構造改革のせいにはできない」として小泉構造改革をほぼ全面的に是認して、さらに「改革の中で景気回復は進んだ」と政府と変わらぬ立場をとります。これでは、正社員削減による所得格差拡大と若者の就職難、大型店進出による商店街と地域の衰退、生活保護費の削減、高齢者医療費の負担増など国民生活を根底から脅かす「悪政」に斬り込めるはずがありません。事実上、政府広報と化している朝日が書けるはずもないのです。

◆高島平の朝日読者は、わがまちの「負」を取材されてもその起因する全体像がくっきりと浮かび上がり、負からの脱皮の糸口が少しでも示されれば納得するはずです。毎日新聞は朝日に先駆けて「縦並び社会」という連載を始めていますが、果たしてどこまで核心に迫れるのか…。2月26日、朝日、読売はじめほとんどの新聞に竹中直人を起用した「ひろがる、NIPPON構造改革」の政府広報が全面広告で掲載されました。やれやれ、日本の新聞の読者は日々、小泉改革の教えを刷り込まれているようなものです。

◆高島平に朝日がやってきて、目に見えることは書きました。しかし、ちょっとやそっとでは見えずらい本当のことは、まだ書いていません。もやもや感が晴れない読者のためにズバッとやってくれるなら、もういちど高島平を取材してもいいよ、と心根の優しい人たちはいうかもしれません。期待は出来ませんが…。次は勝ち組のシンボル、六本木ヒルズからのレポートでも読んでみたいものです。

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